腹腔鏡下手術 - 婦人科 よくある質問

腹腔鏡下(ふっくうきょうか)手術は、分散した小さな傷で行うため傷が目立たず痛みが少ないなど患者さんにとってとてもメリットの多い手術です。腹腔鏡で手術できる婦人科疾患は、近年の医療機器や医療技術の進歩により大幅に適応拡大し、我が国でも年々増加傾向にあります。また一方で腹腔鏡下手術特有の合併症も増加しており、残念な新聞報道も散見されます。 当院担当医の井本はプロフィールに記載しましたように大阪医科大学付属病院産婦人科ならびに関連病院で数多くの腹腔鏡下手術の経験を積み、安全で過不足の無い手術を目指して現在もコツコツと研鑽を重ねています。多くの患者さんから聞かれる代表的なご質問を当院における治療指針と共にQ&A形式で以下にご説明致します。

MEA 体験者の声

腹腔鏡下手術 体験者の声

きずの小さな手術 腹腔鏡下手術

Q1 腹腔鏡下手術って何ですか?

腹腔鏡はお腹の中(腹腔)を観察する内視鏡の事です。おへその近くに1cm程度の小さな穴を開け、そこから筒状の器具(外套管)を通しその管から内視鏡を挿入します。そして腹腔内のスペースを作るために体にとって刺激の少ない炭酸ガスを注入します。さらに左右の下腹部に3~4カ所5~10㎜の小さな穴を開け外套管を設置します。そこから専用の細い器具を出し入れし腹腔内のテレビモニターを見ながら手術を行います。術式によっては、恥骨付近の皮膚に2~3㎝の小切開を加えることもあります。

Q2 開腹手術と比べて腹腔鏡手術はどこがよいのですか?

傷が小さく、内視鏡により病変部を拡大して手術できるので、次のような利点があります。
  1. 術後の痛みが軽減されます。
  2. 手術の傷が目立ちません。
  3. 術後の回復が早く入院期間が短くなります。
  4. 早期の社会復帰が可能です。
  5. 繊細な手術操作ができるので術後の癒着が少なく出血量も少なくなります。

Q3 腹腔鏡下手術の欠点と限界は?

開腹手術と較べて少し時間がかかりますが、安全に行えれば、欠点はありません。
ただし手術を開始して初めて解ることや手術の流れの中で生じる適応の限界もありますので、そのような場面では、開腹手術に変更して対処します。
主な開腹手術への変更の理由は以下の通りです。
  1. 広い範囲の癒着や強固な癒着のために手術を安全に進めることが困難なとき。
  2. 癒着剥離の過程で腸管や膀胱、尿管などが損傷し、その修復に開腹による手技を要するとき。
  3. 予期しない出血が手術中に起こり止血が困難なとき。
  4. 悪性腫瘍が見つかったときなど。
当院の技術認定医が行った手術では主に強固な腸管癒着などの理由で5例(0.6%)が開腹手術に変更となっています。

Q4 どのような疾患が腹腔鏡下手術で治療できるのでしょうか?

  1. 良性卵巣腫瘍
  2. 子宮筋腫
  3. 子宮内膜症(卵巣チョコレートのう胞、腹膜病巣など)
  4. 子宮腺筋症
  5. 不妊症、卵管閉塞症、卵管周囲癒着
  6. 子宮外妊娠 など
このように良性の婦人科疾患のほとんどが適応となります。
ただし、悪性が疑われる場合や腫瘍が巨大で技術的に困難な場合は、開腹手術が選択されます。婦人科治療・手術比較一覧

Q5 腹腔鏡下手術の合併症にはどんなものがありますか?

通常の開腹手術同様、まれに出血、感染や術後イレウスなどが起こる事があります。また炭酸ガスによる気腹に伴い、皮下気腫やガス塞栓(1/7,500~1/60,000)が発生することがあります。腸管の損傷、膀胱の損傷などが起こることがあります。さらに通常の開腹手術同様、術後には体位や電気メス使用に伴う皮膚症状がでたり,創部の感染・離開がおこることがまれにあります。手術担当医は麻酔医や手術スタッフと協力して合併症の予防と壊滅に努めていますが、どのような手術でも 100%安全ではないことをご理解ください。 当院手術担当医がこれまでに行ったデータでは、子宮動脈損傷による出血(開腹を要したもの)1例(0.1%)、術後イレウス1例(0.1%)で修復を要する腸管損傷や膀胱、尿管損傷は1例もありませんでした。

Q6 診断がついてから手術までの流れを教えてください

  1. まず、担当医から手術の説明の概略を受け、
  2. 手術が決まったら、手術日程を予約します。
  3. 手術日までに血液、心電図、胸部レントゲンなどの術前検査を行います。
  4. さらに麻酔科と歯科を受けていただき安全に手術が行えることを確認します。
  5. 担当医より手術についての詳しい説明を受けていただいた上で同意書を受け取っていただきます。
  6. 手術は原則として水、木曜日に行われます。
なお3-5の順序は多少変更する事がありますのでご了承ください。

Q7 麻酔はどうするのですか?

麻酔は通常、全身麻酔もしくは全身麻酔と硬膜外麻酔を併用します。
入院までに麻酔科外来を受診していただき、担当医から麻酔法についての詳しい説明を聞く事ができます。

Q8 入院期間とその後のスケジュールについて教えてください

通常、術後3-5日目に退院となります。退院1~2週間後に外来を受診していただき、術後の経過をチェックします。ただし発熱や出血など術後経過によっては退院が延期となることもありますが、多くの場合、軽い仕事は術後2週間、運動や旅行は術後4週間で可能となります。

Q9 入院の費用はどれくらいですか?

入院と手術はすべて健康保険が適応されます(個室使用料は除きます)。
手術の方法により費用は異なりますが、おおよそ50~65万円で、通常その3割の負担となります。 ご不明な点、ご確認したい点などございましたら、どうぞ遠慮なくレディスセンター婦人科スタッフまでご連絡ください。