腹腔鏡下手術に関するよくある質問・疑問

※この記事は治療に関する一般的な知識です。治療に関して詳しい情報を知りたい場合は、かかりつけ医にお尋ねください。

腹腔鏡下手術とはどのような手術ですか?

腹腔鏡下手術は、腹腔内に小さなカメラ(腹腔鏡)と専用の器具を挿入して行う低侵襲手術です。通常、腹部に数か所の小さな切開を作り、そこから手術器具を挿入します。モニターに映し出された拡大画像を見ながら、精密に手術を進めることができます。開腹手術に比べ、患者への負担が少なく、回復が早い点が特徴です。


どんな病気が腹腔鏡下手術の適応になりますか?

腹腔鏡下手術は、以下のような病気に適応されることが一般的です:

  • 婦人科疾患:子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症
  • 消化器系疾患:胆石症、虫垂炎、大腸がん
  • 泌尿器系疾患:腎臓や副腎の手術
  • ヘルニア:鼠径ヘルニアや腹壁ヘルニア

ただし、病気の進行度や症状の重さ、患者の体調によっては適用が難しい場合もあります。医師が診断の結果、最適な治療法を提案します。


腹腔鏡下手術のメリットとデメリットは何ですか?

メリット

  • 切開が小さいため、術後の痛みが少ない。
  • 術後の回復が早く、入院期間が短い(通常1〜5日)。
  • 傷跡が目立ちにくく、美容的に優れている。
  • 術中のモニター画像で詳細に患部を確認できるため、精密な手術が可能。

デメリット

  • 開腹手術に比べて操作が難しく、高度な技術が必要。
  • 炭酸ガスを使うため、術後に肩の痛みやお腹の張りを感じることがある。
  • 病状や患者の状態によっては適用できない場合がある。

腹腔鏡下手術の準備はどう進めるのですか?

手術前には、診断結果を基に患者の状態を評価します。血液検査、心電図、胸部X線などの検査で体調を確認し、手術の適応を判断します。また、手術当日は禁食・禁水の指示を受けることが一般的です。手術内容について事前に医師から詳しい説明があり、患者の疑問に答える時間も設けられます。


手術はどのくらいの時間がかかりますか?

手術時間は病気の種類や症状の重さによって異なります。例えば、虫垂炎の場合は30分〜1時間程度、子宮筋腫の摘出では1〜3時間、大腸がんなどの複雑な症例では3時間以上かかることもあります。


手術中にリスクはありますか?

腹腔鏡下手術は低侵襲ですが、以下のリスクが考えられます:

  • 器具による臓器の損傷
  • 出血や感染症
  • 炭酸ガスによる合併症(稀なケース) 手術中に予期せぬ事態が発生した場合、医師の判断で開腹手術に切り替えることがあります。

手術後にどのような経過をたどりますか?

術後は回復室で数時間休んだ後、病室に移動します。早い場合は翌日から歩行が可能で、軽い食事も始められます。一般的に、入院期間は1〜5日程度です。患者の状態や手術の内容によっては、日帰り手術が可能な場合もあります。


術後の痛みや違和感はありますか?

術後の痛みは開腹手術よりも軽いとされていますが、切開部やお腹の張り、肩の痛みを感じることがあります。これは手術中に炭酸ガスを使用した影響で、一時的なものです。通常は数日で軽減しますが、痛みが強い場合は医師に相談してください。


術後に気をつけることは何ですか?

術後は感染症を防ぐため、切開部を清潔に保つことが重要です。また、無理な運動や重いものを持つことは避け、徐々に日常生活に戻すようにします。術後1〜2週間程度で軽い運動が可能になり、約1か月で通常の生活に戻れる場合が多いです。


術後の通院やフォローアップは必要ですか?

術後の経過を確認するため、数週間後に通院が必要です。切開部の治癒状態や、内臓の回復具合をチェックします。特に慢性疾患がある場合や再発のリスクがある病気の場合は、定期的な通院が推奨されます。


腹腔鏡下手術は患者への負担が少ない優れた手術法ですが、適用には個々の状況を慎重に判断する必要があります。疑問や不安があれば、手術前に医師に相談し、納得した上で治療を進めることが大切です。