マイクロ波子宮内膜アブレーション(Microwave Endometrial Ablation:MEA)は、子宮内膜をマイクロ波の熱エネルギーで破壊することで、月経量を減らす治療法です。主に過多月経や子宮腺筋症、特定の子宮筋腫の治療に用いられます。
子宮を摘出せずに治療を行うため、体への負担が少なく、短い回復期間で症状を改善できるのが特徴です。
この手術では、専用の器具を使って子宮内膜を高温で焼灼(しょうしゃく)することで、内膜の機能を停止させ、月経量を大幅に減少させる効果があります。治療時間が短く、日帰り手術や短期入院での対応が可能です。
マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)のメリットとデメリット
マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)のメリット
低侵襲で体への負担が少ない
小さな器具を挿入して手術を行うため、大きな切開が必要ありません。
短い手術時間(約30分〜1時間)で済みます。
回復が早い
日帰りまたは1〜2日の入院で治療が可能。
術後の痛みが少なく、数日で通常の生活に戻れるケースが多い。
子宮を温存できる
子宮全摘出が必要ないため、子宮を残したい患者にとって適した選択肢です。
子宮を保存することで心理的負担を軽減します。
費用が保険適用される
平成24年4月1日から保険適用となり、自己負担額が軽減されました。
経済的なハードルが低くなり、多くの患者が選びやすい治療法になりました。
過多月経の改善
内膜を破壊することで月経量が大幅に減少します。
貧血や生活の質(QOL)低下に悩む患者にとって有効です。
マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)のデメリット
妊娠ができなくなる
子宮内膜が破壊されるため、術後に妊娠することは基本的に難しくなります。
妊娠を希望する患者には適さない治療法です。
再発の可能性
子宮腺筋症や筋腫が原因の場合、内膜を焼灼しても症状が再発することがあります。
根治治療ではなく、症状緩和を目的とする治療法です。
適応範囲が限られる
子宮の大きさや筋腫の位置、悪性疾患の可能性がある場合には治療が行えません。
適応条件に該当しない場合は他の治療法が検討されます。
合併症のリスク
器具の挿入による子宮壁の損傷や感染症のリスクがあります。
稀に術後に持続する痛みや違和感が生じる場合があります。
マイクロ波ってなに?
マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)で使用されるマイクロ波は、特定の周波数帯域の電磁波を利用して子宮内膜を加熱・焼灼する治療法に応用されています。過多月経や子宮腺筋症などの症状を緩和するために、子宮内膜を高温で破壊することで月経量を大幅に減少させる効果があります。
MEAでのマイクロ波の使用方法
器具の挿入
子宮内にマイクロ波を照射する専用のプローブ(器具)を挿入します。プローブは子宮内膜に直接接触し、均一な加熱を行います。
治療時間
照射は通常、数分間行われます。この短時間で必要な熱エネルギーを正確に子宮内膜に供給します。
温度の制御
マイクロ波の熱エネルギーは細かく制御されており、内膜組織を適切な温度(約75〜80℃)に加熱します。この温度で内膜の機能を停止させます。
まとめ
MEAで使用されるマイクロ波は、その特性を活かして子宮内膜を効率的かつ安全に治療するための重要な技術です。
短時間で体への負担が少ない治療を可能にし、過多月経や子宮腺筋症に悩む患者の生活の質向上に貢献しています。
一方で、適応条件や治療後の影響を十分に理解し、医師と相談の上で治療を選択することが大切です。